ジョージアの秘境 フバンチカラの故郷ラチャ・レチフミ地方
ラチャ・レチフミ地方は大自然の絶景に恵まれたジョージアで最も美しいと言われる秘境です。極寒の冬は万年雪に閉ざされ、氷河も見られます。
ここラチャ・レチフミ地方で生産される極めて味わい深い甘口の名産ワインが「フバンチカラ」です。
もともとは農民たちが自分たちのために作って楽しんだ、とっておきのワインでした。
収穫量が少なかったので、当時は多種類のぶどうを混ぜて醸造していました。
19世紀、貴族のプリンス・キピアニが研究に研究を重ね、アレクサンドォロリとムジェレトゥリという2種類のぶどうだけで醸造してみたところ、これまでにない素晴らしいワインが出来上がりました。
エレガントなベリーとバラのアロマに包まれ、心地よい酸味と苦みが調和するこの甘口ワインは人々から尊敬を込めて「キピアニのワイン」と呼ばれるようになりました。
「キピアニのワイン」は1907年ベルギーの欧州ワインフェスティバルで栄えある最高賞に輝きました。その時のメダルはジョージアの首都トビリシの国立博物館に所蔵されています。
こうしてフバンチカラは一躍、世界で最も有名なジョージアワインになりました。
1932年以降「キピアニのワイン」は「フバンチカラ」と呼ばれるようになりました。
(本間補足:文献にはありませんが、当時はスターリン(1878-1953)による大粛清(1937)の直前、プリンスの名を冠したワインが存続するはずはありませんでした。)一方、スターリンは甘口のフバンチカラをこよなく愛し、片時も手放さなかったそうです。
ヤルタ会談ではスターリンお気に入りのフバンチカラをチャーチルとルーズベルトに供し「戦後はこのワインで3人で金もうけをしようじゃないか」と言ったそうです。
葉巻と甘口ワインの愛好家だったチャーチルが「私はこのワインを生涯買い占めたい」と言った・・など逸話が絶えません。
フバンチカラワインは正にプリンスキピアニが1927年に創設したワイナリーで醸造されました。
(ラチャの地理情報 ジョージアの西北部、大コーカサス山脈中央部に位置する人口の最も少ない地域です。 北はロシア、西と南はそれぞれサメグレロ地方とイメレティ地方に接する山岳地域で、高山草原や緑の峡谷が広がっています。標高は400メートルから5000メートル! )